初恋シグナル~再会は恋の合図~
藤桜じゃ考えられないよね、と思わずそんな僻みめいたことを口に出してしまいそうになる。
「……もう少し攻撃に厚みがでるといいよな」
まっすぐ、懸命にグラウンドを駆ける皆の姿を眺めながら、ぽつりと辻村くんはそう言った。
「……え?」
「守り重視のチームなんだろ?……それはそれでいいと思うけど、それでももう少し攻撃のパターンがあった方がいい」
相変わらず、私の方は見てくれない。
でも。
「……う、うん。コーチとも相談してみる……」
サッカーを見つめる真摯な瞳に。
まっすぐな、言葉に。
辻村くんは、本当にサッカーが好きなんだと、思い知らされた気がした。
きっと、藤桜だから、とか、うちが弱小チームだから、とか、そんなことは関係ないんだ。
ただ、今はここが彼にとってのチームで。
……自分のチームを少しでも卑下した自分が恥ずかしくなった。