初恋シグナル~再会は恋の合図~
「……そ。今頃気づいた。なんかいつまでも中学のこと引きずってた自分が馬鹿らしくなったんだよね。
……だけど、だからって今すぐに昔みたいな仲に戻れるわけでもないけど」
「なんで?戻れるよ。佐竹くんがちゃんと謝れば……」
「そう簡単に、ここまで深まった溝は埋まんないでしょ。あんたほど単純ならどうかわかんないけど」
佐竹くんはそう言って笑うけど、なんで私のこと鈍くさいとか単純とか…、ところどころけなしてくるのかな!
「ていうか、いつまであんたって呼ぶの?私にはちゃんと長谷川美祈っていう名前があるんですけど!」
私がそう言うと、佐竹くんは、一瞬驚いたような顔をして、そしてそれはすぐに呆れ顔に変わった。
「……あんた、本当馬鹿だね」
「はい!?」
なんでよりによって佐竹くんに馬鹿呼ばわりされなきゃなんないの!?
私がそう言うより先に、佐竹くんがベンチから立ち上がった。
そして、私の背後の背もたれにトン、と片手を置く。
「!?」
なぜか近づいてきた佐竹くんに、私は訳が分からずきっとどうしようもなく困った顔をしていたことだろう。