初恋シグナル~再会は恋の合図~
ざあっ、と歩いていた道の脇に並ぶ木々が、冬の夜風に揺れて音をたてた。
その風に乗って、私の髪がふわりと靡く。
まるで時間が止まってしまったかのように感じられて。
なにも、言葉が出なかった。
「……なんか言えよ」
沈黙の末、掠れた声で辻村くんがそう言った。
そこでようやくハッと我に返る。
それと同時に、「好き」の言葉が深く、深く心の中に沁み込んできて。
「え、なんで……っ」
気付けば、ポロポロと涙が溢れていた。
辻村くんも驚いたようで、私の頬から手を離し、目を丸くして私を見た。
恥ずかしくなって、ごしごしと手の甲で涙を拭うけど、どうしてか全然止まってくれない。