初恋シグナル~再会は恋の合図~
ぎゅーっと思う存分抱きしめ合って、やがて微かにその力が弱まったかと思うと、するりと辻村くんの長い指が私の頬を滑った。
滑りおりたその指は私の顎に辿りついて、再び顔を上げさせられる。
「……いい?」
ゆっくり近づいた距離で、辻村くんがそう訊いた。
……ここまできてそんなの、訊かなくてもいいのに。
私は辻村くんのそんな律儀さにおかしくなって、ふふっと小さく笑う。
すると辻村くんは不機嫌そうに眉を顰めた。
「……何笑ってんだよ」
「あはは、だってそんなの訊くんだも」
ん。
その1文字だけが、キスに飲み込まれてくぐもった音に変わった。
軽く触れた唇。
すぐに離れていって、間近で視線が絡み合った。
「……顔、赤」
「し、仕方ないじゃん!は、はじめてなんだもん……」
「え」
私の言葉に、驚いたように目を見開いた辻村くん。
……なに?
ファーストキスもまだだってことがそんなに意外だった?