初恋シグナル~再会は恋の合図~
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「なに、また彼氏?」
ピリリ、と鳴った携帯を鞄から取り出すと、一緒にいた同じ研究室の子に訊ねられる。
私はにっこり笑って頷いた。
「うん」
えへへ、と笑うと、うわー、と顔をしかめられた。
そんな引かれてもめげないから!
「もしもし、……え、もういるの!?ちょ、ちょっとまって今行く!!」
私はピッと通話を切ると、急いで途中だった文書を保存してUSBを抜き、パソコンの電源を落として鞄を肩に掛けた。
一般教養の講義のレポートを研究室のパソコンを借りて書いていた途中だったのだ。
「じゃ、お先です!」
「くそー、このリア充め!」
「何言ってんの、なっちゃんだって彼氏いるくせに」
「そうだけどさ!!みのりんの彼氏はなんか違うじゃん!まさかJリーガーの彼女と知り合いになれるとは思ってなかったよ!」
「まだ2軍だけどねー」
あはは、と笑うと、かんけーない!とすごい剣幕で言われた。
「やっば、行かなきゃ。じゃあお疲れ!」
なっちゃんと喋り出すと楽しくていつまでも喋り続けちゃうから、私は慌てて会話を切ると部屋を出た。