初恋シグナル~再会は恋の合図~
どうして自分は泣けないんだろう。
そう疑問には思わない。
だって、泣けなかった、んじゃない。
必死に涙を我慢していただけだったのだから。
最後まで、皆をまとめる立派なキャプテンでいたかった。
そんな、虚勢。
だけど。
きっと俺だって皆と同じくらい悔しくて。
……いや、きっと俺が一番悔しいと思ってる、なんて思いあがったことを考えるくらいには、やっぱり、悔しくて。
「くそ……っ」
ひとりになった帰り道。
思わず、口からそう零れていた。
それと同時に、ぽろりと零れた涙。