初恋シグナル~再会は恋の合図~
仕方ないじゃん。
再会してからの辻村くんは、いつだってどこか冷めてて。
あまりに過去とのギャップがありすぎて、完全に無愛想キャラに変化しちゃったと思ったんだもん。
「つか、話ってなに」
「あ、そうだった」
笑ってくれたことに意識がいって、本来の目的を一瞬見失ってたよ!
「……あのね。今日、辻村くん、初めて怒ったでしょ?」
恐る恐るそう言葉を紡ぐけど、辻村くんは私をまっすぐ見たまま、何も言わなかった。
怒ってるのかな、と不安になったけど、そのまま言葉を続ける。
「藤桜の、レベルの高いところでやってたんだもん。ああいうふうに皆のプレーを不満に思ったのって、今日だけじゃないと思う。私ね」
「俺は」
私の言葉を遮って、辻村くんは立ち止まった。
ひどく、落ち着いた声だった。