初恋シグナル~再会は恋の合図~
教室の窓をたたきつける強い雨。
私は窓にいくつもの線を付けていくその水滴たちを、憂鬱な気持ちで見ていた。
6月に入り、本格的に梅雨に入った今日この頃。
じめじめとした湿気が身体を覆い、なんとも気分が悪い。
そして。
「いいかー、ここテストに出すからなー」
先生の声に、慌てて教科書とノートに印を付けた。
ピンクの蛍光ペンでアンダーラインを引く。
ペンケースから付箋を取り出して、教科書の上の方にぺたっと貼り付けた。
そう。
テスト1週間前につき、部活動停止中。
そして、学校全体がもうテストモード。
普段は睡眠学習者多数の、この日本史の授業でも、今日は至る所でペンを走らせている音が聞こえる。
……はたして本当に授業の内容をノートにとっているのか、内職という名の、次の数学の授業の予習なのかは定かではないけど。