not ANGEL but BENUS
いや、後悔なんかしている暇は無い。逃げなければ。逃げ延びなければ。



………どこへ?



ハッとして振り返る。そして、サーッと音をたてて血の気が引くのを、嫌というほど感じた。


逃げる。どこへ?


どこへ?

どこへ行けば……逃れられる?


忘れていた。後ろに下がればいいと思っていたが、当然、相手はボク達を包囲するはず。だから、『入り口らしき所から堂々と逃げる』なんつう、ターミネーター並のやり方は、ただの自殺行為なのだ。

忘れていた。

ボク達に、逃げ道など有りはしないのだと。

商店街に入口が2つ在ることを、存分に忘れていた。当然に後ろ側からも人が来ることを。
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