not ANGEL but BENUS
そして僕はおもむろに、流流流が取り落としたショットガンを。



警官隊に―――――向けた。


ざわりと黒い集団に波が起き、犇めきあうように固まった。バリケードが前へ前へと押し出される。


「ハッハッ……はぁ……なあ、流流流?」


ひとしきり笑った後、僕は流流流に語りかけた。自分の殻に閉じ籠っていた流流流は、泣きはらした顔を上げた。


「流流流……お前、生きたいよな?死にたくないよな?」

「わ、わ、わ私……生きたい。生きたいよ……でも」


「じゃあ生きろよ」

ああ、ボクってこんなイヤラシイ笑い方が出来る人間だったんだ。もう、サイコウだね。








悪役として。






「じゃあ生きろよ。生きてボ…オレを守ってみせろよ」


「え……?」

流流流は、呆然とショットガンを構えたボクを見ていた。


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