40歳 朝、勇者に任命される
「疲れや怪我は、こちらへ戻るときに消してあげます。
それと・・・嫌って言われたときのために、
今、娘さん、人質に取ってます。
あなたがこの話を受けてくれれば、
そっともとの場所に戻しておくのですが」
「やります」
即答した。
男の子は、ほっとした表情をした。
「では・・・」
少しの間、目を閉じる。
「・・・戻しました。行きましょうか。
とりあえず、世界観を理解していただけるように、3時間。
その後、あなたの世界へ戻します。
そこからの睡眠時間は4時間しかないですが」
後のことを、しっかり考えた説明。
何も考えずに、異世界へ飛び出せるほど、
非現実的には生きられない。
そこのところも、きっちり分かってらっしゃる。
「結構」
そう言うしかない。
男の子は満面の笑みを浮かべた。
「じゃあ、行きますか」
あたしは立ち上がった。
いつの間にか勇者にふさわしい格好に着替えている。
10代の頃のすらりとした体と体力。
中身は40歳ですけどね・・・・
あたしは、他の世界に転送された。
××活躍を期待しつつ・・・終わり××