美味しい飲み物〈Bachelor girl〉
…と、いうわけで。
私は一人暮らしのボロアパートのベランダで、メンソールを咥える。
一年振りの紫煙。
あーあ。
マイ・ディクショナリーにやっぱり禁煙の文字はなかった〜…
お饅頭みたいな、まん丸のお月様に向かって、ふーっと煙を吹く。
時折、吹き抜ける春の風が心地良かった。
「まあまあ、固いこと言わずに。
良かったら、お月様も一服、どうぞ」
私は手を伸ばして、煙草の吸い口を月に向けた。
…はたから見たら、ちょっとアブナイかも。
「すいません。あの…
こんばんわ」
隣のベランダから若い男の声がした。