守護者たちの饗宴 ―エメラルド・ナイト―
 彼らの年齢を見てベリルは思わず口元を緩めた。

銀の長髪と赤茶色の瞳を持つ少年が脳裏に浮かぶ。


「護衛、といっても差し迫った危険があるわけではない。

しかし、万が一のことがあっては困るのだ。

 かといって、私が仰々しく護衛をつけるのは彼らの自主性を損なうことになる。

貴君には護衛と知られぬよう、さりげなくバックアップを行なって欲しい。

多少のトラブルがあっても、三人が無事ならそれで構わん」


 それはそれでいい経験になる、と御剣は付け加えた。


「一つ確認しておきたい」

「ふむ、何だ」

「私は傭兵なのだがね」

「肩書きはどうでもよい。

一番腕のいい者を頼む、と依頼して紹介されたのが貴君だ。

 正式な護衛ならガードに一日の長があろうが、有事の際の救出にまで対応しきれるとは思えんな。

それに……」


 御剣はそこで言葉を切り、ベリルの翠玉瞳(エメラルドアイ)を見据えてにやりと笑った。


「貴君はなかなか面白い経歴があるようだ。

何もなければそれでよし。

有事の際にはくれぐれもよろしく頼む。

ベリル・レジデント殿」


 御剣から差し出された手を、ベリルは小さく肩をすくめて握り返した。
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