君に捧ぐ、愛の唄
愛しい君
滑り台とブランコ、それに半分土に埋まったタイヤで出来た跳び箱。
広い敷地なのに、ほとんどは芝生が敷いてあるだけの公園。
メイン遊具は、唯一大人数で遊ぶことができるジャングルジム。
そんな閑散とした公園を見下ろしながら、俺はビルの屋上にいた。
もう使われてない寂れたビル。
それでも立ち入りを禁じられないのは、ここが都会に比べたら遥かに田舎だからだろうか。
公園の向こうにある、この田舎で一番大きな建物よりも空に近いこの場所で。
俺は一人、立っていた。
誰もいない、誰にも見られないこの場所で。
俺は小さく息を吸う。
そして
「――――……」
歌を、歌い始めた。
.