君に捧ぐ、愛の唄

愛しい君




滑り台とブランコ、それに半分土に埋まったタイヤで出来た跳び箱。


広い敷地なのに、ほとんどは芝生が敷いてあるだけの公園。


メイン遊具は、唯一大人数で遊ぶことができるジャングルジム。



そんな閑散とした公園を見下ろしながら、俺はビルの屋上にいた。



もう使われてない寂れたビル。


それでも立ち入りを禁じられないのは、ここが都会に比べたら遥かに田舎だからだろうか。



公園の向こうにある、この田舎で一番大きな建物よりも空に近いこの場所で。


俺は一人、立っていた。


誰もいない、誰にも見られないこの場所で。



俺は小さく息を吸う。




そして





「――――……」






歌を、歌い始めた。



.
< 2 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop