君に捧ぐ、愛の唄
わかってない。
全然わかってないんだ、この人。
自分の知名度が。自分の価値が。
私みたいな文章下手で落ちこぼれの新聞部員でも、彼を取り上げたら絶対に大勢の人に見てもらえるってことが。
それともわかっていて、それを拒否しているのだろうか。
「取材したいこと、たくさんありますっ」
なんとか、取材させてもらえないかと食い下がる。
「俺じゃなくてもいいだろ」
至極面倒くさそうに吐き捨てた彼は立ち上がる。
待って…
待って…!
「あなたじゃなきゃダメなの!」
.