君に捧ぐ、愛の唄



彼は、心当たりがあるんだ。あの歌に。


そして、それを知られたくないんだ。



「今すぐ忘れろ」


「え…」



「歌も、それを俺が歌ってたことも。
全部忘れろ。今すぐに」



こんなに必死に、私に口止めしようとするほどあの歌には何かあるの…?


私の心に浮上したのは疑問。




だけど、私はやっぱり新聞部の落ちこぼれなんだなぁ。


記者魂とか、探求心とか。



人々の関心を引く話題が目の前にあるのにそんなの持てなくて。



「隠したいの?そんなに…」


「……」



彼は答えなかったけど、答えは明らかで。

だから





「じゃあ消してもらったほうがいいよ…」



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