明日なき狼達
「これで皆揃ったな」
開口一番、三輪が事務所に集まった者達を見回し言った。
「緊急で皆に集まって貰ったのはだな、人捜しを頼まれて欲しいからなんだ。
ある筋からの依頼で、この人間達を捜してる」
そう言って三輪が差し出した写真は、野島と梶、それに西田加代子のものだった。
「こいつらを追ってるんですか?」
誰かが質問した。
「おう。この婆さんは元ニシダビューティクリニックの社長、で、こっちの眼鏡を掛けた薄ら禿げは弁護士で今は天海興信所という所で調査員の仕事をやっている。もう一人の小太りの男は、退職したばかりの元デコ助だ」
滝沢の手が回っている……
澤村は滝沢の力を改めて恐ろしいと感じた。
三輪は、一言も滝沢の名前を口にしていないが、この依頼は間違い無く滝沢から出たものに違い無い。
「こいつらが何を?」
別な若い者が聞いた。
「理由は詳しくは判らないが、とにかく一日でも早くこの人間達を見つけ出す事。いいな」
コピーされた写真を手渡された澤村は、事態は急を要していると感じた。
その時、ふと自分に視線が注がれている事に気付いた。
その視線の主はと見ると、濃いサングラスを掛けた男が三輪の陰に隠れるようにして立っていた。
短く刈り込まれた頭、サングラス越しでも感じる冷たい視線。背筋から血の気が引いて行くような薄気味悪さを感じた。
あの男だ……
雨宮……いや、郷田貢。
児玉達が言っていた男……。
澤村は、横に居た男にそっと聞いた。
「叔父貴の後ろに居る奴は?」
「ああ、何でもTSコーポレーションとか言う会社の人間らしいぜ。そこの警備部門の責任者とかってこの前聞いたけど」
「そうか……」
澤村は、郷田となるべく視線を合わさないようにして、組事務所を後にした。
直ぐさま浅井にこの事を電話した。
浅井の方でも同様に組の命令で三人の行方を追ってくれと言って来たという。
(澤村、あの人達を匿う場所、変えるか?)
「いや、今下手に動いたらかえって危ない。付いてる若い者達は大丈夫か?」
(それは心配無い。こんな事もあろうかと思って、あそこに詰めてる者は、皆俺の直接息の掛かったやつらだ)
開口一番、三輪が事務所に集まった者達を見回し言った。
「緊急で皆に集まって貰ったのはだな、人捜しを頼まれて欲しいからなんだ。
ある筋からの依頼で、この人間達を捜してる」
そう言って三輪が差し出した写真は、野島と梶、それに西田加代子のものだった。
「こいつらを追ってるんですか?」
誰かが質問した。
「おう。この婆さんは元ニシダビューティクリニックの社長、で、こっちの眼鏡を掛けた薄ら禿げは弁護士で今は天海興信所という所で調査員の仕事をやっている。もう一人の小太りの男は、退職したばかりの元デコ助だ」
滝沢の手が回っている……
澤村は滝沢の力を改めて恐ろしいと感じた。
三輪は、一言も滝沢の名前を口にしていないが、この依頼は間違い無く滝沢から出たものに違い無い。
「こいつらが何を?」
別な若い者が聞いた。
「理由は詳しくは判らないが、とにかく一日でも早くこの人間達を見つけ出す事。いいな」
コピーされた写真を手渡された澤村は、事態は急を要していると感じた。
その時、ふと自分に視線が注がれている事に気付いた。
その視線の主はと見ると、濃いサングラスを掛けた男が三輪の陰に隠れるようにして立っていた。
短く刈り込まれた頭、サングラス越しでも感じる冷たい視線。背筋から血の気が引いて行くような薄気味悪さを感じた。
あの男だ……
雨宮……いや、郷田貢。
児玉達が言っていた男……。
澤村は、横に居た男にそっと聞いた。
「叔父貴の後ろに居る奴は?」
「ああ、何でもTSコーポレーションとか言う会社の人間らしいぜ。そこの警備部門の責任者とかってこの前聞いたけど」
「そうか……」
澤村は、郷田となるべく視線を合わさないようにして、組事務所を後にした。
直ぐさま浅井にこの事を電話した。
浅井の方でも同様に組の命令で三人の行方を追ってくれと言って来たという。
(澤村、あの人達を匿う場所、変えるか?)
「いや、今下手に動いたらかえって危ない。付いてる若い者達は大丈夫か?」
(それは心配無い。こんな事もあろうかと思って、あそこに詰めてる者は、皆俺の直接息の掛かったやつらだ)