明日なき狼達
男の両足の付け根をベルトで縛り、止血の応急処置をし、野島が話しを聞き出す事にした。流石に元刑事だけあって、尋問はプロであった。
滝沢のアジトは、元々国立の医療施設だった所を払い下げられた物だという事が、男の話しから判った。
「あの病院の跡地をそっくり奴が保有してるってえ訳なんだな?」
「お、俺達下っ端には詳しく判らないが、た、多分そんなところだと思う……」
「そこに間違い無く滝沢は居るんだな?」
「ここんとこ、ず、ずっと居る。も、元々外国から仕入れた品物を保管して置く場所だったんだ…あ、あんた達が、う、奪おうとした物も、そこに運び込んである。
なあ、これだけ話したんだ、お、俺をちゃんとした病院へ早く連れて行ってくれ。た、頼む……」
哀願する男を無視するかのように、児玉が聞いた。
「郷田はどうした?」
「ご、郷田?し、知らない、そんな男は知らない……」
「児玉さん、多分奴は滝沢の所でも雨宮と名乗ってるのではありませんか?」
松山の話しを聞いて児玉は再び問い質した。
「さっき、あの場所でお前達を指揮していた男だ。雨宮という名前を名乗ってるかも知れない。どうなんだ?」
「ああ、雨宮さんなら解体工場に居た。あ、あんた達に撃たれて死んだんじゃないのか?」
「奴の死体は無かった」
「わ、判らない」
「なら逃げたという事か……」
郷田の行方が児玉には気になっていた。それは、松山も同様だった。松山に取っては、滝沢云々よりも、より直接的に関係している人間だからである。
トラックは環八から男の言った国立病院跡地に向かう枝道へ入って行った。その場所は、周囲を大学の施設等に囲まれ、かなり広い敷地である。そこは、古い精神病院で、重度の精神障害者を拘禁する為の施設もあった。人間を監禁するには打ってつけの場所であるかも知れない。又、男が言ってるように、密輸品を大量に保管するにも、考えて見れば最適な場所とも言える。国有地だった所だし、周りに民家が少ない。
人に知られたくない事をするには、とにかくこれ程の場所は無いという事が、その場所に近付くにしたがって判る気がした。
滝沢のアジトは、元々国立の医療施設だった所を払い下げられた物だという事が、男の話しから判った。
「あの病院の跡地をそっくり奴が保有してるってえ訳なんだな?」
「お、俺達下っ端には詳しく判らないが、た、多分そんなところだと思う……」
「そこに間違い無く滝沢は居るんだな?」
「ここんとこ、ず、ずっと居る。も、元々外国から仕入れた品物を保管して置く場所だったんだ…あ、あんた達が、う、奪おうとした物も、そこに運び込んである。
なあ、これだけ話したんだ、お、俺をちゃんとした病院へ早く連れて行ってくれ。た、頼む……」
哀願する男を無視するかのように、児玉が聞いた。
「郷田はどうした?」
「ご、郷田?し、知らない、そんな男は知らない……」
「児玉さん、多分奴は滝沢の所でも雨宮と名乗ってるのではありませんか?」
松山の話しを聞いて児玉は再び問い質した。
「さっき、あの場所でお前達を指揮していた男だ。雨宮という名前を名乗ってるかも知れない。どうなんだ?」
「ああ、雨宮さんなら解体工場に居た。あ、あんた達に撃たれて死んだんじゃないのか?」
「奴の死体は無かった」
「わ、判らない」
「なら逃げたという事か……」
郷田の行方が児玉には気になっていた。それは、松山も同様だった。松山に取っては、滝沢云々よりも、より直接的に関係している人間だからである。
トラックは環八から男の言った国立病院跡地に向かう枝道へ入って行った。その場所は、周囲を大学の施設等に囲まれ、かなり広い敷地である。そこは、古い精神病院で、重度の精神障害者を拘禁する為の施設もあった。人間を監禁するには打ってつけの場所であるかも知れない。又、男が言ってるように、密輸品を大量に保管するにも、考えて見れば最適な場所とも言える。国有地だった所だし、周りに民家が少ない。
人に知られたくない事をするには、とにかくこれ程の場所は無いという事が、その場所に近付くにしたがって判る気がした。