明日なき狼達
郷田 貢
出血を何とかしなければ……
郷田は歩きながら何処かに薬屋は無いかと探した。薬屋は見つからなかったが、コンビニがあった。
郷田が店内に入ると、店員の顔が凍りついた。
郷田の顔は血まみれのままだし、歩くそばから靴跡が血で床にべったりとなっている。
郷田は携帯用の裁縫道具と、生理用ナプキンを手にし、カウンターに向かった。
ポケットを探り、金を探したが、財布が見当たらない。一瞬考え、仕方無しに腰の拳銃を抜いた。
「悪いな。どうも財布を何処かで落としたようだ。このまま頂いて行くよ」
店員は眼を見開き、震える手でレジから現金を取り、郷田に恐る恐る差し出した。
暫くそれを見つめながら、郷田はそれを受け取った。
「済まんな。こんなつもりは無かったんだが……」
そのままコンビニを出ると、丁度、車が店前に停まった。降りて来た中年の女性客は、郷田の姿を見るなり、腰を抜かしたようになって、その場にへたり込んだ。
「済まないが、この車を借りるよ。そうだ、ついでにケータイも貸してくれないか」
そう言って郷田は女から車の鍵とケータイを奪った。
ファミリータイプのワンボックスカーを急発進させ、その場にタイヤ音とアスファルトの焦げた匂いを残して去って行った。
奪ったケータイで滝沢に連絡をした。電話で、逃げた残りの連中の居所を知った。
「私も今から向かいます」
多摩川を越えた所で、郷田は二十四時間パーキングに車を乗り入れた。
車の中で傷の応急処置をする為である。小さな傷は後回しにし、深手を負っている傷だけを先に処置した。針が小さ過ぎてなかなか上手く傷が縫えない。弾が一発入ったままだが、それを取っている暇は無い。
縫合がおわると、生理ナプキンを傷口に当て、再び車を走らせた。
急がねば……
他の奴らにあの者達を殺らせてしまう訳には行かない。
この手で始末しなければ……
児玉一佐……
貴方は特にこの手で……
自動拳銃のマガジンを抜いた。中に弾は入っていなかった。
そのまま銃をシートに投げ捨て、血の付着したサバイバルナイフを抜き、刃をまじまじと見つめた。
郷田は歩きながら何処かに薬屋は無いかと探した。薬屋は見つからなかったが、コンビニがあった。
郷田が店内に入ると、店員の顔が凍りついた。
郷田の顔は血まみれのままだし、歩くそばから靴跡が血で床にべったりとなっている。
郷田は携帯用の裁縫道具と、生理用ナプキンを手にし、カウンターに向かった。
ポケットを探り、金を探したが、財布が見当たらない。一瞬考え、仕方無しに腰の拳銃を抜いた。
「悪いな。どうも財布を何処かで落としたようだ。このまま頂いて行くよ」
店員は眼を見開き、震える手でレジから現金を取り、郷田に恐る恐る差し出した。
暫くそれを見つめながら、郷田はそれを受け取った。
「済まんな。こんなつもりは無かったんだが……」
そのままコンビニを出ると、丁度、車が店前に停まった。降りて来た中年の女性客は、郷田の姿を見るなり、腰を抜かしたようになって、その場にへたり込んだ。
「済まないが、この車を借りるよ。そうだ、ついでにケータイも貸してくれないか」
そう言って郷田は女から車の鍵とケータイを奪った。
ファミリータイプのワンボックスカーを急発進させ、その場にタイヤ音とアスファルトの焦げた匂いを残して去って行った。
奪ったケータイで滝沢に連絡をした。電話で、逃げた残りの連中の居所を知った。
「私も今から向かいます」
多摩川を越えた所で、郷田は二十四時間パーキングに車を乗り入れた。
車の中で傷の応急処置をする為である。小さな傷は後回しにし、深手を負っている傷だけを先に処置した。針が小さ過ぎてなかなか上手く傷が縫えない。弾が一発入ったままだが、それを取っている暇は無い。
縫合がおわると、生理ナプキンを傷口に当て、再び車を走らせた。
急がねば……
他の奴らにあの者達を殺らせてしまう訳には行かない。
この手で始末しなければ……
児玉一佐……
貴方は特にこの手で……
自動拳銃のマガジンを抜いた。中に弾は入っていなかった。
そのまま銃をシートに投げ捨て、血の付着したサバイバルナイフを抜き、刃をまじまじと見つめた。