明日なき狼達
対峙……
ヤンと陳はその女が戻って来るのを待っていた。
滝沢の一番お気に入りの愛人。
その女を捕らえ、滝沢の居場所を聞き出す……
上手く行くかどうか判らないが、与えられた時間が無い。
一台のタクシーが停まった。降りて来た女は、狙っていた女だ。
二人は気付かれ無いようにして、車から降りてそっと近付いた。
二人の行動は素早かった。
女がマンション内の宅配ボックスの前で、自分宛ての荷物を取ろうとしているところを背後から襲った。
女は声を上げる暇も無く、二人に拉致された。自分達の車に押し込み、タイヤを軋ませながらその場を急いで離れた。
目撃者は誰もいない。
僅か数十秒間の出来事だったから、車に押し込められても、暫くは女自身もポカンとして自分の身に何が起こったのか理解出来ないような様子だ。
「心配しなくてもいい。聞きたい事に、素直に答えてくれさえすれば、何もせず無事に帰して上げる」
ヤンの冷え冷えとした物言いは、恫喝以上に相手を恐怖に陥れる。
急に恐怖感に襲われた女は、思い出したかように、突然悲鳴を上げた。
「騒いでも無駄だ。金が目当てじゃないし、ましてや君の身体にも興味は無い。尤も、何も言ってくれない場合は、その身体に興味を持ちそうな連中に裸で放り投げても構わないんだが」
「な、何を話せばいいの?」
「ん?」
話し声が妙だ。普通の女より、ツーオクターブばかり低い。女の低い声とは明らかに違う。
ヤンはいきなり女の胸を鷲掴みにした。
いや、掴もうとしたが、そこには女性特有のふくよかなバストが無かった。
「な、何よっ!」
そのまま手を股間に持って行った。
「キャッ!」
そこには女性にはあってはならない物があった。
「ニューハーフか?」
「違う。あたしは、戸籍上は男だけど、身も心も女よ……」
「そんな事はどうでもいい。お前の大切なパパの居所を知りたいんだ」
「お家じゃないの?ここんとこ来てくれてないから、あたしには判らない……」
「ならば電話を掛けて会いたいとか、上手い事言って居所を聞いてくれ」
ヤンの有無を言わせない言い方に、女は仕方無しにケータイを取り出した。
滝沢の一番お気に入りの愛人。
その女を捕らえ、滝沢の居場所を聞き出す……
上手く行くかどうか判らないが、与えられた時間が無い。
一台のタクシーが停まった。降りて来た女は、狙っていた女だ。
二人は気付かれ無いようにして、車から降りてそっと近付いた。
二人の行動は素早かった。
女がマンション内の宅配ボックスの前で、自分宛ての荷物を取ろうとしているところを背後から襲った。
女は声を上げる暇も無く、二人に拉致された。自分達の車に押し込み、タイヤを軋ませながらその場を急いで離れた。
目撃者は誰もいない。
僅か数十秒間の出来事だったから、車に押し込められても、暫くは女自身もポカンとして自分の身に何が起こったのか理解出来ないような様子だ。
「心配しなくてもいい。聞きたい事に、素直に答えてくれさえすれば、何もせず無事に帰して上げる」
ヤンの冷え冷えとした物言いは、恫喝以上に相手を恐怖に陥れる。
急に恐怖感に襲われた女は、思い出したかように、突然悲鳴を上げた。
「騒いでも無駄だ。金が目当てじゃないし、ましてや君の身体にも興味は無い。尤も、何も言ってくれない場合は、その身体に興味を持ちそうな連中に裸で放り投げても構わないんだが」
「な、何を話せばいいの?」
「ん?」
話し声が妙だ。普通の女より、ツーオクターブばかり低い。女の低い声とは明らかに違う。
ヤンはいきなり女の胸を鷲掴みにした。
いや、掴もうとしたが、そこには女性特有のふくよかなバストが無かった。
「な、何よっ!」
そのまま手を股間に持って行った。
「キャッ!」
そこには女性にはあってはならない物があった。
「ニューハーフか?」
「違う。あたしは、戸籍上は男だけど、身も心も女よ……」
「そんな事はどうでもいい。お前の大切なパパの居所を知りたいんだ」
「お家じゃないの?ここんとこ来てくれてないから、あたしには判らない……」
「ならば電話を掛けて会いたいとか、上手い事言って居所を聞いてくれ」
ヤンの有無を言わせない言い方に、女は仕方無しにケータイを取り出した。