明日なき狼達
その後、二度電話で吉見と連絡を取り合い、当日の段取りを決めた。
吉見と野島が税関の高級職員になる。身分証明書や、その他の必要書類は、全て吉見が揃える。梶と松山が押収した品物の運搬を担当する。児玉は、加代子と共に車で待機し、押収した品物と皆をピックアップする役目だ。
児玉は、前日に車で横浜迄行き、実際にどう逃走経路を選択したら良いかをチェックした。
車の手配等も吉見が全て行い、後はその時を待つばかりとなった。
午前6時。
横浜港の第三倉庫で吉見と児玉達は合流した。
野島がそれぞれを紹介し、手順の確認をした。
「では、こちらのワゴンを児玉さんが使って下さい」
吉見は、自分が乗って来たワゴン車のキーを児玉に渡した。
「俺達は?」
「既に手配した車を税関脇の駐車場に止めてあります。児玉さんと合流するのは、此処で」
「判った」
「三隻の貨物船を順番に調べる訳だけど、その間に本物の税関職員が来たり、相手にばれたりしたら……」
「手順よく皆さんが動いてくれたら問題ありません」
そう言い切った吉見の表情を見て、児玉は一抹の不安を感じた。
「では、そろそろ時間ですから。」
吉見の声に促され、児玉と加代子を残して埠頭へ向かった。
目指す貨物船へは、歩いて10分程で到着した。
吉見が先頭になり、野島、梶、神谷、松山の順番で船のタラップを昇って行った。
甲板に出て、ブリッジを見上げると、侵入者に気付いた船員が慌ててこちらに向かって来た。船員はアジア系の顔立ちをしていたが、話す言葉は聞き取りずらい英語だった。
吉見が英語で説明し、胸ポケットから書類を何枚か出して見せた。船員は、船内用の無線機で乗船中の責任者を呼び出していた。
やって来たのは、日本人の船長だった。
「税関チェックの時間にしては早過ぎませんか?」
「緊急に他の船も検査しなくてはならなくなりましたのでね。すぐ済みますから」
船長の先導で積み荷のチェックを始めた。
かなりの量の積み荷から、吉見はいったいどうやってダイヤを見つけ出そうというのか……
野島はその事ばかりを考えていた。
吉見と野島が税関の高級職員になる。身分証明書や、その他の必要書類は、全て吉見が揃える。梶と松山が押収した品物の運搬を担当する。児玉は、加代子と共に車で待機し、押収した品物と皆をピックアップする役目だ。
児玉は、前日に車で横浜迄行き、実際にどう逃走経路を選択したら良いかをチェックした。
車の手配等も吉見が全て行い、後はその時を待つばかりとなった。
午前6時。
横浜港の第三倉庫で吉見と児玉達は合流した。
野島がそれぞれを紹介し、手順の確認をした。
「では、こちらのワゴンを児玉さんが使って下さい」
吉見は、自分が乗って来たワゴン車のキーを児玉に渡した。
「俺達は?」
「既に手配した車を税関脇の駐車場に止めてあります。児玉さんと合流するのは、此処で」
「判った」
「三隻の貨物船を順番に調べる訳だけど、その間に本物の税関職員が来たり、相手にばれたりしたら……」
「手順よく皆さんが動いてくれたら問題ありません」
そう言い切った吉見の表情を見て、児玉は一抹の不安を感じた。
「では、そろそろ時間ですから。」
吉見の声に促され、児玉と加代子を残して埠頭へ向かった。
目指す貨物船へは、歩いて10分程で到着した。
吉見が先頭になり、野島、梶、神谷、松山の順番で船のタラップを昇って行った。
甲板に出て、ブリッジを見上げると、侵入者に気付いた船員が慌ててこちらに向かって来た。船員はアジア系の顔立ちをしていたが、話す言葉は聞き取りずらい英語だった。
吉見が英語で説明し、胸ポケットから書類を何枚か出して見せた。船員は、船内用の無線機で乗船中の責任者を呼び出していた。
やって来たのは、日本人の船長だった。
「税関チェックの時間にしては早過ぎませんか?」
「緊急に他の船も検査しなくてはならなくなりましたのでね。すぐ済みますから」
船長の先導で積み荷のチェックを始めた。
かなりの量の積み荷から、吉見はいったいどうやってダイヤを見つけ出そうというのか……
野島はその事ばかりを考えていた。