明日なき狼達
梶と野島が先に乗った。
松山は神谷を庇うよにして車に近付いた。
神谷を後ろから押し込むようにして乗せた瞬間、神谷が、
「アッ!」
と声を出し、躓いた。右足を撃たれていた。
松山がひざまづいた神谷を抱き起こそうとした時、右のコメカミを弾丸が掠めた。
やっとの思いで乗り込むと、ドアを閉める間も無くワゴンは急発進した。
車のボディに何発かの弾丸が当たった。
児玉は、再び男に向かってハンドルを切った。
男が運転席に銃口を向けている。一瞬、目と目が合った。
「郷田……」
男は銃を撃たずに車を避けた。
「助かった……」
「神谷さん、大丈夫ですか?!」
「ひ、膝が……」
松山が、神谷のズボンを下ろし、傷口を見た。
傷口は一カ所だけ。貫通せず、中に残ったままかも知れない。
松山は、自分の着ていた上着を脱ぎ、肌着を引き裂いた。それで足の付け根をきつく縛り、応急処置をした。
「もう少し遅かったら危なかった……」
「予定の時間になってもなかなか戻って来ないし、連絡も無かったので迎えに来てみたんです」
「あんた達、あたしのダイヤは?」
「姐御、済まん」
「無かったの?」
「吉見の野郎が全部掻っ攫っちまった……」
「そんな事より、早く病院に行って治療しないと」
梶が野島と神谷の身を案じてそう言うと、
「いや、病院はまずい。このまま国立に戻ります。」
児玉がそう言うと、
「それもまずいかも知れません。ちょっと心当たりに電話してみます」
と言って、梶のケータイを借りて電話をし始めた。
「澤村か?俺だ。済まんが怪我人が二人居るんだ。訳ありだから、病院には運べない。それと、俺達も暫く姿を隠す必要があるんだが、力を貸してくれないか?」
(判りました。今、どちらですか?)
「桜木町から関内の辺りだ。もうすぐ高速に乗る」
(それでしたら銀座に向かって下さい。信用出来る男に連絡をしときます。匿う人は全部で何人ですか?)
「俺を入れて六人だ」
(判りました。大丈夫です。必要な物を揃えて自分も銀座に向かいます)
松山は神谷を庇うよにして車に近付いた。
神谷を後ろから押し込むようにして乗せた瞬間、神谷が、
「アッ!」
と声を出し、躓いた。右足を撃たれていた。
松山がひざまづいた神谷を抱き起こそうとした時、右のコメカミを弾丸が掠めた。
やっとの思いで乗り込むと、ドアを閉める間も無くワゴンは急発進した。
車のボディに何発かの弾丸が当たった。
児玉は、再び男に向かってハンドルを切った。
男が運転席に銃口を向けている。一瞬、目と目が合った。
「郷田……」
男は銃を撃たずに車を避けた。
「助かった……」
「神谷さん、大丈夫ですか?!」
「ひ、膝が……」
松山が、神谷のズボンを下ろし、傷口を見た。
傷口は一カ所だけ。貫通せず、中に残ったままかも知れない。
松山は、自分の着ていた上着を脱ぎ、肌着を引き裂いた。それで足の付け根をきつく縛り、応急処置をした。
「もう少し遅かったら危なかった……」
「予定の時間になってもなかなか戻って来ないし、連絡も無かったので迎えに来てみたんです」
「あんた達、あたしのダイヤは?」
「姐御、済まん」
「無かったの?」
「吉見の野郎が全部掻っ攫っちまった……」
「そんな事より、早く病院に行って治療しないと」
梶が野島と神谷の身を案じてそう言うと、
「いや、病院はまずい。このまま国立に戻ります。」
児玉がそう言うと、
「それもまずいかも知れません。ちょっと心当たりに電話してみます」
と言って、梶のケータイを借りて電話をし始めた。
「澤村か?俺だ。済まんが怪我人が二人居るんだ。訳ありだから、病院には運べない。それと、俺達も暫く姿を隠す必要があるんだが、力を貸してくれないか?」
(判りました。今、どちらですか?)
「桜木町から関内の辺りだ。もうすぐ高速に乗る」
(それでしたら銀座に向かって下さい。信用出来る男に連絡をしときます。匿う人は全部で何人ですか?)
「俺を入れて六人だ」
(判りました。大丈夫です。必要な物を揃えて自分も銀座に向かいます)