明日なき狼達

ダイヤの行方

 銀座ランプで降りた児玉は、松山から言われた有料駐車場にワゴンを入れた。

「もうすぐ澤村という男がやって来ます。信用出来る男ですから、安心して下さい」

 その言葉が言い終わらないうちに、澤村がやって来た。

 大型のワンボックスカーから降りた澤村は、その車に乗り移るようにと言った。

「この車はどうする?」

「何でしたら、うちの者に処分させます」

 事のあらましは、ここへ来る途中で話してある。

 澤村と一緒に乗って来た若い男が、一言二言耳打ちされ、頷くと、児玉達が乗って来たワゴン車に乗り込んだ。そのまま運転して去って行った。

「皆さん急いで」

 車に乗り込みながら、

「済まん……」

 と松山は頭を下げた。

 澤村は何も言わず、黙ったままで車を運転した。

「すぐ近くですから」

 車は10分もせずに、とあるマンションの地下駐車場に着いた。既に手配していたのか、そこには屈強な若者達が数人待っていた。彼らは神谷を抱き抱えるようにして、エレベーターで最上階迄運んだ。

 そのフロアには、部屋が三つあり、全て浅井という者が借りてる部屋だから心配無いと澤村が言った。902と書かれたドアを開けると、中から浅井が出て来た。

「皆さん、こちらへ」

 リビングを抜け、奥の部屋に通されると、ベッドがあった。

 神谷をそこに寝かせた。

 気丈にも、一言もうめき声を上げず、顔面を土気色にしながら、痛みに耐えている。

「医者を呼ばなくては……」

「知り合いの医者で診てくれそうな奴がいますか?」

 澤村が浅井に聞くと、首を横に振った。

「私がやってみましょう……」

 児玉が二人に言った。

「医者を呼べば、騒ぎになる。弾丸を摘出して傷口を縫い合わせれば、当座は何とかなる筈だ」

「児玉さん、出来るの?」

 加代子が心配そうな眼差しで聞いて来た。

「昔、レンジャーに居た頃に、大概の傷の応急処置を学びましたから」

「お、お願い、します……」

 激痛に顔を歪めながら神谷が言った。

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