明日なき狼達
部屋に居た全員が口を閉ざした貝のようになっていた。
一番軽口を叩きそうな加代子ですら、じっと瞼を閉じて神谷の傍らに座っている。
重い口を最初に開いたのは、野島だった。
「吉見の野郎、俺達を……」
吉見から受け取っていたケータイで、さっきから何度か掛けてみたが、一切繋がらない。
事の顛末を松山は澤村と浅井に話した。
「六千五百億のダイヤモンド……」
「無茶だ……」
「そう、無茶だったんだ。吉見とかいう男に俺達はいいように使われた……」
「ダイヤの行方も気になりますが、問題は滝沢ですね…下手にうろうろしたら奴らに……」
「俺達の事を調べ上げるなんて事は、滝沢にしてみればわけも無い事だろうからな」
松山がそう言うと、
「ダイヤ自体は俺達の手にって訳には行かなかったが、滝沢からポイントを一つ奪えたってえ事で少しは気を良くしとかなきゃな……」
と野島が独り言のように呟いた。
「この後はどうするつもりで?」
澤村の問い掛けに、松山は無言で首を振った。
「もし宜しければ、多少は力になれると思いますが……」
「澤村、今でも充分迷惑を掛けてるんだ。これ以上は……」
「匡さん、今更水臭い事は言わないで下さい。義理だの人情だのって言ってんじゃないんです。自分達の組にも滝沢との関わりで影響が出て来てるんです。
奴の思い通りにされたら、うちら親栄会での上がり目は無くなっちまうんです。手え、貸します。例え、匡さんがやめろと言っても……」
浅井が横で頷いた。
「松山さん、澤村の気持ちを汲んでやって下さい。自分も一緒にやりますから」
「澤村……」
児玉はそのやり取りを見ながら、ヤクザの世界というものが、想像していたものよりも、少しはマシなんだなと思えて来た。
「澤村、お前んとこでどれだけ兵隊を動かせる?」
ウォッカで顔を赤らめながら野島が聞いて来た。
「頭数は居ますが、本当に使える奴となると……ですが、既にいろいろ手は回しています」
澤村は辻一世との話しを思い返した。
あの方を味方にしなければ……
「そんな事よりあたしのダイヤ!あぁあ、悔しい」
突然加代子が声を上げた。
一番軽口を叩きそうな加代子ですら、じっと瞼を閉じて神谷の傍らに座っている。
重い口を最初に開いたのは、野島だった。
「吉見の野郎、俺達を……」
吉見から受け取っていたケータイで、さっきから何度か掛けてみたが、一切繋がらない。
事の顛末を松山は澤村と浅井に話した。
「六千五百億のダイヤモンド……」
「無茶だ……」
「そう、無茶だったんだ。吉見とかいう男に俺達はいいように使われた……」
「ダイヤの行方も気になりますが、問題は滝沢ですね…下手にうろうろしたら奴らに……」
「俺達の事を調べ上げるなんて事は、滝沢にしてみればわけも無い事だろうからな」
松山がそう言うと、
「ダイヤ自体は俺達の手にって訳には行かなかったが、滝沢からポイントを一つ奪えたってえ事で少しは気を良くしとかなきゃな……」
と野島が独り言のように呟いた。
「この後はどうするつもりで?」
澤村の問い掛けに、松山は無言で首を振った。
「もし宜しければ、多少は力になれると思いますが……」
「澤村、今でも充分迷惑を掛けてるんだ。これ以上は……」
「匡さん、今更水臭い事は言わないで下さい。義理だの人情だのって言ってんじゃないんです。自分達の組にも滝沢との関わりで影響が出て来てるんです。
奴の思い通りにされたら、うちら親栄会での上がり目は無くなっちまうんです。手え、貸します。例え、匡さんがやめろと言っても……」
浅井が横で頷いた。
「松山さん、澤村の気持ちを汲んでやって下さい。自分も一緒にやりますから」
「澤村……」
児玉はそのやり取りを見ながら、ヤクザの世界というものが、想像していたものよりも、少しはマシなんだなと思えて来た。
「澤村、お前んとこでどれだけ兵隊を動かせる?」
ウォッカで顔を赤らめながら野島が聞いて来た。
「頭数は居ますが、本当に使える奴となると……ですが、既にいろいろ手は回しています」
澤村は辻一世との話しを思い返した。
あの方を味方にしなければ……
「そんな事よりあたしのダイヤ!あぁあ、悔しい」
突然加代子が声を上げた。