視線の先の×××
「先輩は?」
「休日出勤」
「休日出勤で図書館ですか?」
「天宮(あまみや)と同じ雨宿り」
窓の外を指差した。
「そうですか…」
さっさと会話を終わらせたくて視線を逸らした。
別に、そばに彼氏がいるからってわけじゃない。
この先輩、いつも私をからかうから。
苦手なだけ。
沈黙が続くのに。
先輩は立ち去るつもりもないみたい。
ずっと無言でそばに立っている。
「あの…彼氏がいるので。」
DVD棚の彼氏を指差した。
「なあ…天宮、もしかして、オレのことを意識してる?」
イタズラっぽくゆるんだ口元。