視線の先の×××
数メートル先にDVDを選んでいる彼氏。
いつものイジメにしては、ひどすぎる。
緊張感が走るはずなのに。
キュンとした熱が体を駆け巡る。
「せ…先輩?」
見上げた先輩の顔は、イタズラに微笑んだまま。
「この先の続きを知りたかったら、ついてくるか?」
小さく耳打ちして立ち去ろうとした。
「せ…」
今日こそ、文句を言おうと立ち上がって伸ばした左手。
視界の中に見えた薬指。
さっきまでなかったはずの指輪がキラリと光っていた。
……先輩は、策略者だ。