俺、弟に襲われます!!短編集
って訳で今に至る。

はぁ、なんで裏リオはあんな事言っちゃったのかなぁ。
負ける気がするよ…今日の星座占い、最下位だったし。あ、じゃあお兄ちゃんも最下位か。


ガラガラ、と教室のドアを開けると視線が突き刺さる。
…痛いよ。視線が痛いよ。いつもの3割り増しでグサグサと突き刺さってくるよ。
僕なんかしたっけ?

訳が分からずキョロキョロしてると、目の前に女子が集まって来た。
手元には綺麗にラッピングされた袋が。

「リオ君!あげる!!」
「チョコ好きなんでしょ?」
「甘党男子って萌えるよね!」
「是非ともレオ君とあーんし合ってね!!」

などなど、こっちの状態なんかお構いなしにチョコが投げられる。投げつけるって感じの子もいたけど。
てか、なんか「萌える」とか聞こえたけど空耳かな?
お兄ちゃんとあーんしろ、ってのも聞こえたけど…よし、空耳ってことで!

「…って!わわわっ、チョコ落ちるぅ!!」

落ちそうになるチョコを必死で受け止めながら、女子軍の中を抜け出す。
ひとまず安全地帯を確保。

「びっくりしたぁ…」

去年は6個だったのに、今日は朝だけで8個はある…
ということは、これでお兄ちゃんに勝てるかな?!


「ちょ、お前等っ!潰れるって!!」

僕の期待をぶち壊す状態になってた。
見事に女子軍がわらわらわらわらと。そしてなんとなく僕より多い気がする。
…お兄ちゃんは僕のだし。
とか心の中で言ってみたり。


なんとかお兄ちゃんも抜け出して僕の近くにくる。
制服が少し乱れてるのがすごくすごーく気になる。なんでチョコもらうだけなのにそんなへとへとになってんの。


「お兄ちゃん、僕の数えちゃダメだよ」
「んなこと知ってる」

僕たちのルール。
バレンタインデーが終わるまで、相手のチョコの数を数えてはいけない。

いつからか作られてたルール。
うーん、いつ作ったんだっけ?


そんな事考えていると、1人の女の子が目の前に来た。
見上げると、それは。

「リーオ。どーぞ!」
「玲緒奈…ありがと」

元カノ(元カレ?)の稲葉玲緒奈だった。
玲緒奈から受け取ったチョコは、異常に大きい。
気になって開けて見ると、中にはトイ・プードルのぬいぐるみが入ってた。

……なんでトイ・プードル?
あ、いや、そっちじゃなくて、なんでぬいぐるみ?


「リオってさ、犬っぽいじゃん?」
「…そんな事はじめて言われたよ」

じゃん?って聞かれてもね、困るんだよ。お分かり?

「ちなみに、チョコは手作りだよん」

玲緒奈の得意教科は、家庭科。
僕も教えてもらってたほど、料理が上手。
きっといい奥さんになるはず。

「お兄ちゃんにはあげないの?」
「うん、リオのしか用意出来なかったから」

ってことは…
現在、僕優勢?!
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