セク・コン~重信くんの片想い~
5話 ドキドキ!ダブルデート!
柄にもなく、重信は待ち合わせの二十分も前から駅前でうろうろと時間を潰していた。
用もないのに、駅横のコンビニに入ってみたり、そわそわと歩き回ったり、かなり不審な動きをしている。
「ハギー」
向かいの道路から手を繋いで横断歩道を渡ってくるカップルは、恵太と美雪で間違いない。
「あれっ! まだアオイ来てないの?」
恵太がキョロキョロと周囲を見回してから重信に訊ねた。
「まだ来てない」
二十分も前から駅前をうろついていた重信だ。アオイが来ていたら、とっくに見つけている。
「まあ、始まるの半からだし、もうちょっとここで待ってみようよ」
美雪の意見に賛同し、三人は取り敢えず駅前のベンチに座って待つことにした。
が、なんとも奇妙な形だ。
ベンチには、重信、恵太、美雪の順にこしかけているのだが、どうにも気まずい空気が流れる。
元々無口な重信だし、恵太と美雪も二人して珍しく重信に気をつかってか、何も話さないものだから、やけにしんとしている。
流石に重信もこのなんとも言えない空気に、どうしたものかと思い始めていた頃、歩道橋の上から勢いよく階段を駆け下りてくる小柄の姿が目に入ってきた。
「あっ、あれアオイじゃないか?」
恵太が指差した方向から、茶のニット帽に黄色のチェック柄の長袖シャツ
濃いめのダメージジーンズというカジュアルなスタイルに身を包んだアオイが物凄いスピードで三人の元へ走り寄って来ている。
「わりぃ!! 練習が思ったより長引いちまって!!」
うっすらと汗をかき、長袖シャツを腕捲りしながらアオイは申し訳なさそうに頭を下げた。
「大丈夫だよ、まだ始まるまで五分もあるし」
美雪がにっこりと笑ってそう答えた。恵太もうんうんと頷いている。
「さあさ、行きますか!」
そうして三人がベンチから立ち上がった。その間重信は一人、アオイがいつもの制服姿ではなく、私服姿でいることに、物凄く舞い上がっていた。
一方、そんなこととは知らないアオイは、無言で突っ立っている重信の腕を、
「おす、ハギ」
とポンと叩く。
自分の世界にすっかり浸っていた重信は、表情にはでないものの、内心バクバクだ。それと同時、興奮で再び舞い上がる。
「なんかハギに尻尾が生えて見えるのは俺だけだろうか?」
ぽっそり恵太が呟くと、美雪もこっそり頷いた。
「わたしもそう見える」
用もないのに、駅横のコンビニに入ってみたり、そわそわと歩き回ったり、かなり不審な動きをしている。
「ハギー」
向かいの道路から手を繋いで横断歩道を渡ってくるカップルは、恵太と美雪で間違いない。
「あれっ! まだアオイ来てないの?」
恵太がキョロキョロと周囲を見回してから重信に訊ねた。
「まだ来てない」
二十分も前から駅前をうろついていた重信だ。アオイが来ていたら、とっくに見つけている。
「まあ、始まるの半からだし、もうちょっとここで待ってみようよ」
美雪の意見に賛同し、三人は取り敢えず駅前のベンチに座って待つことにした。
が、なんとも奇妙な形だ。
ベンチには、重信、恵太、美雪の順にこしかけているのだが、どうにも気まずい空気が流れる。
元々無口な重信だし、恵太と美雪も二人して珍しく重信に気をつかってか、何も話さないものだから、やけにしんとしている。
流石に重信もこのなんとも言えない空気に、どうしたものかと思い始めていた頃、歩道橋の上から勢いよく階段を駆け下りてくる小柄の姿が目に入ってきた。
「あっ、あれアオイじゃないか?」
恵太が指差した方向から、茶のニット帽に黄色のチェック柄の長袖シャツ
濃いめのダメージジーンズというカジュアルなスタイルに身を包んだアオイが物凄いスピードで三人の元へ走り寄って来ている。
「わりぃ!! 練習が思ったより長引いちまって!!」
うっすらと汗をかき、長袖シャツを腕捲りしながらアオイは申し訳なさそうに頭を下げた。
「大丈夫だよ、まだ始まるまで五分もあるし」
美雪がにっこりと笑ってそう答えた。恵太もうんうんと頷いている。
「さあさ、行きますか!」
そうして三人がベンチから立ち上がった。その間重信は一人、アオイがいつもの制服姿ではなく、私服姿でいることに、物凄く舞い上がっていた。
一方、そんなこととは知らないアオイは、無言で突っ立っている重信の腕を、
「おす、ハギ」
とポンと叩く。
自分の世界にすっかり浸っていた重信は、表情にはでないものの、内心バクバクだ。それと同時、興奮で再び舞い上がる。
「なんかハギに尻尾が生えて見えるのは俺だけだろうか?」
ぽっそり恵太が呟くと、美雪もこっそり頷いた。
「わたしもそう見える」