セク・コン~重信くんの片想い~
「ごめん、俺、そろそろ帰るわ」
重信は恵太からさえ目線を合わさないようにして、言った。
「なんで? 今来たとこじゃん。折角だし、クラブ体験でもしてけば?」
アオイは貸し出し用のマウンテンバイクを指差した。
「や。実は用があるの忘れてたから」
勿論用があるなんて真っ赤な嘘だ。今日はアオイの練習姿を拝みに来ることだけが、重信にとっての唯一の用だったのだから。
けれど、これ以上この場所に居続けることは、重信にとって拷問のようなもの。アオイの好
きな人が永遠子かもしれないと、そう予想はしていたものの、こうして実際に二人が仲良さげにしている様子を目にしてみると、どうにもこれ以上は耐えられなくなってしまったのだ。
「えっ、そうなの??」
恵太は何も知らずに、重信の言葉を信じて、残念そうに肩を落としている。
「ああ、悪いな。恵太と美雪ちゃんは気にせず体験させてもらえよ」
「いいのか?」
重信はこくりと頷いて、その場を後にした。
そんな重信の背中を見つめながら、永遠子がクスリと小さく笑いを零したことに、まだ誰も
気付いてはいない。
重信は恵太からさえ目線を合わさないようにして、言った。
「なんで? 今来たとこじゃん。折角だし、クラブ体験でもしてけば?」
アオイは貸し出し用のマウンテンバイクを指差した。
「や。実は用があるの忘れてたから」
勿論用があるなんて真っ赤な嘘だ。今日はアオイの練習姿を拝みに来ることだけが、重信にとっての唯一の用だったのだから。
けれど、これ以上この場所に居続けることは、重信にとって拷問のようなもの。アオイの好
きな人が永遠子かもしれないと、そう予想はしていたものの、こうして実際に二人が仲良さげにしている様子を目にしてみると、どうにもこれ以上は耐えられなくなってしまったのだ。
「えっ、そうなの??」
恵太は何も知らずに、重信の言葉を信じて、残念そうに肩を落としている。
「ああ、悪いな。恵太と美雪ちゃんは気にせず体験させてもらえよ」
「いいのか?」
重信はこくりと頷いて、その場を後にした。
そんな重信の背中を見つめながら、永遠子がクスリと小さく笑いを零したことに、まだ誰も
気付いてはいない。