セク・コン~重信くんの片想い~
「約束はしていない筈だ」
「萩本は黙ってろ」
大寺に強い口調で制され、重信は仕方なく口を噤む。
「約束って?」
アオイが三年の三人組をぐるりと見回しながら、訊ねた。
「男同士の約束だ。アオイには話せない」
大寺は、アオイにとって最も残酷な言葉を言い放った。アオイがそれを耳にしたとたん、いつもの勢いを急に失くしたように、ぐっと唇を噛み締めて下を向いてしまう。
”男同士”。それは、アオイがどんなに望んでも決して手に入れることのできないもの。それを知った上でこの言葉を放った大寺は、実に狡く、そして利口だった。
「まあ、細かいことは気にすんな。連太も今、目の前で萩本に謝ったろ? 取り敢えず仲直りっつうことで」
いつもは馬鹿なことしか口にしないチャラ男、島田が、珍しくそんな風に間に入った。
アオイは、正直言って全然納得できてはいなかったが、そう言われてしまえばこれ以上問い詰めることもできなくなってしまい、不満あり気に黙り込んだ。
「じゃ、仲直りの印に、萩本くんちょっと借りてくよ~?」
小柴が重信の腕を掴むと、
(ま、まじ……!!)
と心の中で冷や汗を流す重信を返事も待たずに引っ張ってゆく。大寺が黙ったまま見過ごす訳はないと予想はしていたが、まさかこう来るとは、重信も考えてはいなかった。
ここで思い切り抵抗することもできたかもしれないが、これ以上恵太とアオイを心配させることはしたくなかったから、重信は嫌な予感を持ちながらも、大人しく三人についていくしかなかった。
「萩本は黙ってろ」
大寺に強い口調で制され、重信は仕方なく口を噤む。
「約束って?」
アオイが三年の三人組をぐるりと見回しながら、訊ねた。
「男同士の約束だ。アオイには話せない」
大寺は、アオイにとって最も残酷な言葉を言い放った。アオイがそれを耳にしたとたん、いつもの勢いを急に失くしたように、ぐっと唇を噛み締めて下を向いてしまう。
”男同士”。それは、アオイがどんなに望んでも決して手に入れることのできないもの。それを知った上でこの言葉を放った大寺は、実に狡く、そして利口だった。
「まあ、細かいことは気にすんな。連太も今、目の前で萩本に謝ったろ? 取り敢えず仲直りっつうことで」
いつもは馬鹿なことしか口にしないチャラ男、島田が、珍しくそんな風に間に入った。
アオイは、正直言って全然納得できてはいなかったが、そう言われてしまえばこれ以上問い詰めることもできなくなってしまい、不満あり気に黙り込んだ。
「じゃ、仲直りの印に、萩本くんちょっと借りてくよ~?」
小柴が重信の腕を掴むと、
(ま、まじ……!!)
と心の中で冷や汗を流す重信を返事も待たずに引っ張ってゆく。大寺が黙ったまま見過ごす訳はないと予想はしていたが、まさかこう来るとは、重信も考えてはいなかった。
ここで思い切り抵抗することもできたかもしれないが、これ以上恵太とアオイを心配させることはしたくなかったから、重信は嫌な予感を持ちながらも、大人しく三人についていくしかなかった。