Chocolat~天使が微笑んで
「ゆり、今日は何作るの?」

「今日はガトーショコラよ」

「めずらしいわね、いつもチョコレートなのに…」

「今日は校長に頼まれてるのよ…今日くる客が、ガトーショコラが好きらしいから作ってくれってね
…ほんとにめんどうよ…」

はぁ
なんでこんなもの作らなきゃいけないのかしら

私のチョコやケーキを食べた人間はみんな言う
"これを食べると幸せになれる”
"天使の食べ物”

そんな分けないのに…
私はただ単に作ってるだけ
気持ちをこめて作ったことはない

バカな人達

私は
ほろ苦く何処かほんのりオレンジの香りのするガトーショコラを作った

隠し味をそっと入れたガトーショコラは甘美な香りと共に魅惑をはなつ

「ゆり味見してもいいかしら?」

「ええ、かまわないわよ」

椿は余ったガトーショコラをフォークでさすとゆっくりと口に含んだ
椿はすぐさま口元をゆっくりとあげると

「いつ食べても美味しいわね
誰にも真似できない…
魅惑の味ね」


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