僕の理論
僕
ー2003年2月07日 19歳ー
僕は死んだ。
事故だった。
突然の事すぎて最初は自分が死んだ事にも気付かなかったぐらいだ。
いきなりの死のせいか、僕は成仏できずにいた。
まあ、確かに未練ばかりだけど。
なにより死んだ実感がない。
悲しいとか悔しいとかよりまだ自分が死んだ事、自分が置かれている状況。全然理解出来ていない。
まさか自分が死ぬとはきっと思ってもいなかった。
人はいつか死ぬ。その事はきっと誰もが知ってる事だし生まれた以上死からは逃げられない。
でも、それをいつか自分も死ぬ。そう捉えると死との距離はたちまちに拡がってしまう。
自分が死ぬなんてきっともっと遠くの未来の話だって思ってた。
まさかこんなに早く死ぬとは思ってもいなかったなぁ。
成仏できずにいた僕は自分の葬儀も見た。
葬儀にはたくさんの人が来てくれた。
昔からの友達だったり学校の先生だったり、バイトの人たちだったり。
もちろん家族や親戚。僕の彼女も来てくれている。
みんな悲しんでいて泣いている人もいる。
僕は複雑な気持ちで葬儀を終わるまでずっと見ていた。
たくさんの人が僕の死を悲しんでくれて、それを見ていると改めて自分が死んだんだなと思い知らされ、同時に悲しみや寂しさ。そう言った感情が僕を襲った。
それから僕はお墓に埋められた。
僕は自分の骨が埋められてる墓石の上に座りながらそこで過ぎていく時間をゆっくりと感じていた。
最初のうちは僕の彼女や友達、家族に親戚やたくさんの人がお参りにやってきてくれた。
そのおかげで僕のお墓は花でいっぱいになったしなにより僕を忘れないでいてくれているのが本当に嬉しかった。
それでもこんなに近くにいる彼女や、友達、家族に話すことも触れることも出来ないことが僕は悔しくてしょうがなかった。
僕はみんなと話したかった。笑ったりふざけあったり。
ありがとうって言いたかった。でも今の僕にはきっとそれは叶わない。
届きそうで届かないものに触れるようなそんなもどかしい気持ちでいっぱいで。
その時はただただ、悔しかった。
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