僕の理論
それから1年とちょっとが経ち冬も終わり春が訪れていた。
春独特の暖かい風に満開の桜の木。
お墓の上で暖かい春の温もりを感じながら座っていた。
僕は春が1番好きだ。きっとみんなもそうだと思う。
そして時間が経つにつれて僕のお墓にお参りしに来る人は少しずつ減っていった。
時間と共に僕という存在も少しずつ薄れていく。
こうやっていつか僕は忘れられてしまうのだろうか。
僕が死んだからと言って皆の人生が変わるわけじゃない。
悲しみも人は忘れてしまう。
それは当たり前の事で僕が死んでも世界は進む。
歴史の教科書に残るような事をした訳でもないし、オリンピックで優勝した訳でもない。
月日を重ねる事に僕を覚えてくれている人は少なくなってしまうんだろうか。
こうやって僕は一体どうなるんだろう。どこに行くんだろう。
普通に生まれ、普通に生きて不慮の事故で死んだ僕。
神様はなんで僕に命を授けたんだろう。
生まれた意味はなんだったんだろう。
なんの為に生きてたんだろう。
時間が経ってもそれでも家族と彼女、親友はお参りに来てくれていた。
死んでしまいなにも出来ない僕にはそれはとても嬉しかった。
唯一その時だけは自分が必要とされている気がした。
どうか、僕を忘れないでいてほしい。
それだけをずっと思ってた。