僕の理論
memories before death
僕は夢を見た。事故にあった当日の夢を。
その日は普通に高校に行っていた。
学校では退屈な授業を受けたり、友達と昼休みを過ごしたり。
いつも通りのの日常を過ごしていた。
友達や彼女とたわいもない話をして笑って。
そんな当たり前の事がずっと続いていくものなんだってその時は思っていた。
死ぬなんて事はきっと考えもしてなかった。
もし、あの時。自分が死ぬと分かっていたなら。
きっと皆に伝えられたのに。ありがとうって。
それでも運命というのは残酷なもので突然にそれはやってくるんだ。
僕が事故にあったのは放課後、家に帰っている時だった。
信号は、青だったと思う。
横断歩道を渡っている時、信号無視をした車と衝突した。
それまでの普通の日常は簡単に壊れてしまった。
19年間かけてできた僕はたった3秒ほどで失われた。
僕の夢はそこで終わった。
目が覚めるともう朝で視界の向こうには綺麗な朝日が昇っていた。
僕はその夢に懐かしいような気持ちと同時に死んだ事も夢だったらよかったのに。そんな事を思っていた。
しかししっかりとこの世界には僕が死んだ事実があり、そんな事を思う自分を嘲笑う事も出来なかった。
少しずつ、死にたくなかったという気持ちが大きくなっていた。
僕は、皆とまだ一緒に生きていたかった。