恋をしたのは澤村さん

「……葵、絶対に会いに行くからね」

「うん。あたしもメールするし、会いに行く」

「じゃあ、また会えたとき葵の気持ちが少しで も俺に残ってたならその時はもう一度俺を選ん で」

島津木くんはそう言って笑った。 出発の時間が近くなって島津木くんは小さなス ポーツバックを抱えて歩き始めた。

「ありがとう、島津木くん。 あたし、島津木くんで本当によかった」

あたしを見つけてくれたのが。あたしを支えて くれたのが島津木くんで本当によかった。

呟きは聞こえたのか聞こえなかったのか島津木くんが振り向くことはなかったけれど心は落ち着いていた。

この先島津木くんと出会う女の子があたしのような子じゃないことを思うよ。
島津木くんがあたしのことを一番に考えてくれたように島津木くんのことを心の底から愛してくれるようなそんな優しい女の子が現れることを。

そして、その子が島津木くんの道を照らしてくれることを。
あたしを見つけたくれたように。
島津木くんの道を照らして迷いなく導いてあげてほしい。

「ありがとう」

貴方は私の大切な人です。

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