恋をしたのは澤村さん
「…………ぁ…」
いつもの帰り道。
いつものアパートの前。
澤村さんは最近アパートの入り口前で立ってくれてる。
「…よぉ」
静かに胸が高鳴る。
その声が少し高いこともあたしを見つけた時に少し笑ってくれるその顔も
些細な事だけど全部期待に変わってく。
「……葵?」
考え事に没頭していて澤村さんが目の前にいることに気づかなかった。
「………ふぇっ!?」
「………疲れてるのか?」
眉を潜めてあたしの前髪に触れようとする澤村さん。
気づかされる見た目とのギャップ。
優しい手つきで髪を撫でられた。