恋をしたのは澤村さん
「………っ!!」
たったそれだけのことで一気に熱が広がっていく感覚がした。
いや多分広がってる。
「……………」
サラリと前髪を一撫でした澤村さんはそのままあたしから離れた。
「…あー…なんかわりぃ」
後ろ髪をガシガシと掻いてる澤村さんの顔は困った顔つきだった。
いつもより細められた目付きは鋭くてゾクリと背筋になにかが走った。
「………さわ…む…らさん、」
名前を呼べば目線だけこちらに向けてくれた。
なに?って言ってくれてる。
でもあと一歩。この歩幅一歩分を詰めたい。
「………うわ……っと…」
気づいたときには身体が動いていた。