恋をしたのは澤村さん
「へー。まだガラケー使ってるんだ」
「まだ使えるし、特に不便も無いんでいいかなって」
親にもスマフォに変えていいのよ、何て言われるけど別に連絡手段にケータイを使ってるだけで特になにか困るわけでもない。
なら今のままでいいかな、何て思ってこのままにしている。
「……ほい」
データ通信が終わったみたいであたしの手の中にケータイが落とされた。
アドレス帳の一覧には澤村鉄の三文字が。
嬉しくてにやけ顔になりそうだった。
「んじゃ、帰ろうか」
足を進め始めた澤村さんを眼で追ってからその後ろ姿を追いかけた。
夢なんかじゃないよね?
今日の出来事夢なんかじゃないよね?
「澤村さん」
呼び掛ければ優しく振り向いてくれる澤村さん。
たったこれだけのことでこんなにも心が高鳴るなんて………。
ちょっとの前のあたしじゃ考えられなかった。
これを恋と言わずなんというんですか……?