恋をしたのは澤村さん
「……なんですか?」
「君一人?今暇?」
「人待ってるんで暇じゃないです…」
「えー?じゃ話だけでもいいや。美味しいバイトが…」
あからさまに嫌そうな顔をしても相手は引くつもりもないみたいで厄介なのに掴まったと心から思っていた時だった。
「すんません。ソイツ俺の連れなんで…」
声と共に後ろから腕を回されて抱え込むように引き寄せられた。
とっさのことに身動きができなくて倒れこむようにその腕の中に収まった。
「手……………出さないでくれます?」
その声を聞いた途端さっきまで乗り気だった男は顔を青ざめて逃げるようにどこかに行ってしまった。
「だいじょーぶか?」