恋をしたのは澤村さん


ホッとして顔をあげると唇が当たるんじゃないかと言う距離に澤村さんの顔があった。
ドキリとしたけれどお礼を言おうと口を開いた。

「…あ、りがとうございます」

「いーよ。俺が待たせちゃったからこうなったんだし。すぐ行ける?平気か?」

「大丈夫です」

「んじゃ行くか」

後ろから抱き抱えられててよく分からなかったけど澤村さんが前を歩き始めたときに驚いて歩いていた足を止めた。

「ん?葵、どうかしたか?」

「…や、今日はジャージじゃないんですね」

「…あー…まぁ別にジャージしか持ってないって訳じゃねぇから」

今日もジャージでくると思っていたのに…。
ラフなTシャツにデニム姿だなんて反則だと思う…。
それだけでも充分にかっこいい…。

「葵?顔赤いぞ…」


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