恋をしたのは澤村さん
「ついてない…」
電車に乗り込んでも高校生の帰宅ラッシュに遭遇し車内はぎゅうぎゅうの箱詰め状態。
蒸し暑さにため息を吐いてケータイを取り出す。
「……見たいドラマが有ったんだけどな…」
ぼやいても仕方なくてケータイを握りしめて次の駅で降りる確認だけをした。
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「ここ、だよね?」
担任に渡された部屋の番号を頼りにチャイムを押す。
呼び鈴は壊れているのか音がならなくて仕方なしに部屋のドアを控えめに叩いた。
「島津木さーん?」
ゴンゴンと鳴らしても出てくることのないドアの前で数分だけ待ってみることにした。
だけどあたしは気がつかなかったんだ…。