恋をしたのは澤村さん
岩ちゃんは従兄でお母さんのお姉ちゃん、私からしたら叔母さんにあたる人の子供だ。
「………えー、そんな態度に出てたかなぁ」
一人になって自分の態度を振り返りながら教室まで急ぐ。
まだ部活動や委員会で残ってる生徒はいるけれどそれでもクラス棟は静まり返っている。
「………遅くなっちゃたし、ほんとあのハゲ」
乱暴に扱ったせいで少し皺のよった問題集を鞄の中にしまう。
忘れ物もないしケータイにも何も連絡はない。
それもそれで悲しいけれど雨の降る窓の外を見て教室を出た。
「………傘、傘」
生徒玄関を出れば湿気のこもった空気が体にまとわりついた。
外は相変わらずの小雨。
折り畳み傘を探していると後ろから肩を叩かれた。
「……はい?」