恋をしたのは澤村さん
「あー…濡れちゃったし……」
少し濡れてよれてしまった鞄にため息をつきながら傘を取り出そうとした。
「……傘ないならどーぞ」
「え、持って…ま、す……」
不意に傾けられた傘に顔をあげ固まった。
「澤村さん…」
「よう」
久しぶりにあった澤村さんは少し痩せたように見えた。
と言うよりかは隈が濃くなっている。
「…えっと、なんでいるんですか?」
澤村さんの学校から私の学校までは正反対だし家だって正反対の位置にある。
だからこんなところにいる澤村さんが不思議で仕方なかった。
「澤村さん?」
「いや、迎えに来たんだけど……」