恋をしたのは澤村さん
「で、二人って付き合ってるのっ!?」
「………付き合ってないよ」
ほんっと女子はこの手の話題が好きだなぁ。
呆れ半分で答えた。
というか隣に島津木くんいるからそういうのやめて欲しいんだけど。
「えぇ~、面白くない~」
面白しろい面白くない以前の問題だと思うんですけど?
次の授業の準備を机の上に出そうとして手を止めた。
「………教科書忘れた」
「じゃあ、俺の貸したげる」
「いっいいよ。悪いし」
さっきまで我関せずみたいな顔をしていたくせに急に声をかけられ慌てて首を横にふった。
「いいよ。ほら、こうして二人でみればいいじゃん」
ズイッと机を寄せられ思わずドキッとした。
島津木くんの匂いが一気に広がって昨日の事を思い出したから。
思わず赤くなった顔をみて島津木くんは困った顔をした。
「ふたり、本当に付き合ってないの?」
「つきあってないって…」
「俺はそうしたいんだけど生憎片想い中でさ。だからこれ以上」
田中さんのこと苛めんの止めたげて?
そう言って笑った島津木くんにクラスの女子は悲鳴のような声をあげてうなずいた。
「……島津木くんって本当最低」
これじゃますます噂されちゃうじゃん。
いやきっとそこが狙いなんだろうけどさ。
授業の間も先生にお前ら仲良しだなぁなんてからかわれたりして本当に散々だった。
「……はぁ。帰ろ帰ろ」
鞄を肩にかけ階段を通ったときだった。
「あ~!!田中さん待って待って!!」
「……なに?」
クラスの女子があたしを引き留めた。
早く帰りたいから手短に済ましてほしいんだけどな。そんなあたしの思いとは裏腹に事態は最悪な方向へと進んでいた。
「今から合コンいかない?」