恋をしたのは澤村さん
「あ、田中さんおかえ…り…」
「あたし、帰るね。制服こんなんになっちゃったし。ちょっと疲れたから。
お金、だけおいていくね」
「ちょっ!田中さん!!わりぃ俺もかえるわ!!………田中さんちょっと待って!」
「島津木くんは残ってても良かったんじゃないの?帰る理由なんて無いでしょ」
「それ、本気でいってる?だとしたら俺も怒るよ?」
振り向かずに淡々と告げていたのに肩を引かれ無理矢理振り向かされた。
「好きな子がそんな顔してんのにほっとけるわけ無いでしょ」
「なにいってるの?変な顔なんかしてないよ」
今にも張り詰めそうな息が漏れでる。
そんなに優しくしないで。泣いちゃうじゃん。
「……田中さん、泣いていいんだよ?」
島津木くんがあたしを抱き締めながら優しく背中を擦ってくれた。
「…何があったのか分かんないけど。もう十分頑張ったじゃん」
全然頑張ってないよ…。
告白だって出来なかったし、素直に言葉を言うこともできなかったもん。
あたし、嫌われるのが怖くて逃げてんだよ?
島津木くんが思うほど純粋で素直な女の子じゃないよ?
「ほら、帰ろ?」