恋をしたのは澤村さん

カタンカタンと揺れる電車のなかで島津木くんの肩に頭を預けながらぼうっと考えた。
あたしは澤村さんと付き合いたのか、本当はどうしたいのか。

「島津木くん。
あの話、考えさせてもらってもいい?」

「恋人になる話ならいつでもいいよ」

「うん」

澤村さんと話してる時のような息苦しさや辛さなんて無くて島津木くんと話してるときは心が穏やかだ。

「なんで、俺じゃなかったんだろうね」

肩を震わせながらそう言う島津木くんの声を聞きながらあたしは夢のなかに意識を手放した。

島津木くんはきっと気づいてたんだ。
あたしがどうしたいか、どうするつもりだったか。
それでも、優しく、優しく接してくれてた。

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