恋をしたのは澤村さん
売店でホットドッグと飲み物を買って遅い昼御飯を食べ始めた時だった。
島津木くんが立ち上がりちょっと待ってて、と言って席を離れた。
残されたあたしは飲み物を飲みながら島津木くんの帰りを待っていた。
「遅いな……何してるんだろう」
席を立ち上がろうとしたとき向こう側から島津木くんが戻って来てあたしに紙袋を差し出した。
「遅くなってごめん。はいこれ」
「何?」
「いいから開けてみて」
「……これ…」
「いっぱいあったからどれにするか悩んだんだけど…。クラゲが一番好きみたいだったから」
紙袋の中から出てきたのは薄い緑色のクラゲと装飾のついたストラップだった。
シャラと金属の擦れる音と風になびくクラゲが可愛いかった。
「………嬉しい。ありがと、島津木くん」
ぎゅっとストラップを握りしめて笑うと島津木くんは嬉しそうな顔でどういたしまして、と返してくれた。
「それ、透かしたらクローバーが見えるんだよ」
その言葉通り太陽に翳すとクラゲのからだが透けて中からクローバーが浮かび上がった。