恋をしたのは澤村さん
岩ちゃんも帰って一人きりになった部屋で立ち尽くしていた。
二人の顔が浮かぶ。
「………もう、戻れないんだよ」
島津木くんの優しさはあたしの傷を癒してくれた。
澤村さんの優しさはあたしに喜びをくれた。
「……あたしが子供だから」
子供だからどちらも選べずにいる。
いや、子供でもこんなことしないか。
誰も傷つかない道なんてない。全員が幸せになる道もない。
暗いドアの前で一人立っている。
帰る道も右にも左にもそれ道はない。
相談……できる相手もいないか…。
こんなこと相談出来るわけないし。
自分の部屋に戻って少しだけ考えることにした。