恋をしたのは澤村さん

昨日の岩ちゃんの言葉が頭から離れない。

「さっきから浮かない顔してどうかした?」

「へっ!?」

ボウッと席についているとすぐ触れそうな距離に島津木くんの顔があった。
心配するような顔をしてあたしの顔を覗きこんでいた。


「だ、いじょうぶ。何もないよ」

慌てて笑顔で取り繕うと訝しげな顔をした島津木くんはあたしの手を引いて教室を出た。

「島津木くん!ホームルーム始まっちゃうよ」
「いいよ。別にそんなこと」

少し力を加えた掌があたしの手をキュッと包み込む。
廊下を突き進んでいるとチャイムの音が廊下に鳴り渡った。

チャイム鳴っちゃった…。
って言うか、さっきから一度も振り向いてくれないけど怒ってるの?
でも、怒ってるって何に?

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