雨と電車とチョコレート


「すっごく嬉しい。……ありがとう」


そう言ってはにかんだ彼に見惚れて、私は何も言えなくなってしまった。


「義理だよね?分かってる。でも、嬉しい」


「あ、の」



義理なんかじゃない。


思いっきり、本命。


ていうか、私なんぞのチョコでこんなに喜んでくれるなんて、本当に良い人!


ますます好きになっちゃうよ……!!



「あ、もしかして俺、はしゃぎすぎ?ごめんね。まさか君からもらえるとは思ってなかったから…。数、大丈夫?友達の分だったんじゃない?」


「違います!……それ、本命です」



そう言うと、彼は再びきょとん、として首を傾げた。


くじけそうな心を奮い立たせて、勇気を出して。


言うんだ、私!


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